子宮にできる良性腫瘍で、30代以上の成人女性の3~4割に認めるポピュラーな病気です。発生原因は未だ不明ですが、エストロゲンが影響していると考えられています。症状がなければ大きさによって3~6か月毎の経過観察でも大丈夫ですが、増大傾向が認められる場合や過多月経・過長月経・不正出血などの月経異常を及ぼす際は手術などの治療が必要です。可能性は低いですが、まれに悪性の子宮肉腫が見つかる場合もあります。
婦人科
Gynecology
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Gynecology
子宮にできる良性腫瘍で、30代以上の成人女性の3~4割に認めるポピュラーな病気です。発生原因は未だ不明ですが、エストロゲンが影響していると考えられています。症状がなければ大きさによって3~6か月毎の経過観察でも大丈夫ですが、増大傾向が認められる場合や過多月経・過長月経・不正出血などの月経異常を及ぼす際は手術などの治療が必要です。可能性は低いですが、まれに悪性の子宮肉腫が見つかる場合もあります。
卵巣は親指の先ぐらいの大きさで、左右に各1個ずつあります。卵巣腫瘍の多くは片側性ですが、両側に発生することもあります。ある大きさになるまでは無症状のことが多く、健診や妊娠時にたまたま見つかることもあります。卵巣腫瘍には非常に多くの種類がありますが、大きく分けると良性腫瘍・悪性腫瘍・境界悪性腫瘍に分かれます。約90%は良性ですが、診断には超音波検査や血液検査、MRIやCTなどの画像検査を併用して良性か悪性を判断し、最終的には摘出したものを顕微鏡で見ることにより鑑別されます。
子宮内膜症は、本来は子宮内腔に存在するはずの内膜組織が、子宮外の骨盤腔などで増殖・浸潤して、周囲組織と強固な癒着を形成したものです。病変としては、腹膜病変、卵巣チョコレート囊胞、深部子宮内膜症のほか、性器外にできる異所性内膜症もあります。およそ9割の方に下腹痛・排便痛・性交痛を認めます。また、約半数の方が不妊症を合併し、原因不明不妊症女性の約50%に内膜症が存在すると言われています。
治療はライフプランに合わせて、手術療法や薬物療法(偽閉経療法、低用量ピル、漢方など)があります。子宮内膜症も0.8%程度ですががん化してしまいますので、経過観察が必要です。
おりものは子宮頚部や膣粘膜からの分泌物に、卵管・子宮・外陰部からの分泌物が混ざってできています。女性ホルモンの影響で量や性状に変化がおこり、排卵直前には水っぽくなり、排卵後は粘調度の強い白濁したものに変化します。通常、乳酸桿菌の影響で甘酸っぱい匂いがしますが、膿のような緑色で嫌なにおいがする(細菌性膣炎)、かゆみがある(真菌性膣炎)、血液が混ざる(萎縮性膣炎)などの変化を認める場合には受診してください。
女性とホルモンは切っても切り離せない関係。毎月繰り返すこのホルモンバランスによって、様々なトラブルを抱えることがあります。ホルモンの安定しない思春期(小学校高学年~高校生頃)には月経不順、性成熟期(18~45歳頃)にはホルモンは安定するもののそのバランスからPMSや月経異常など、更年期(45歳頃~)には更年期症状が出現します。
黄体期におけるエストロゲンとプロゲステロンの分泌変化から、身体的症状(むくみ、肌荒れやニキビ、乳房や下腹部の張りなど)や精神的症状(イライラ、憂鬱、無気力、倦怠感、不眠など)が現れます。全女性の約70~80%が何らかの不快な症状があり、5~10%は日常生活に支障をきたしているといわれています。
環境変化や仕事などのストレスのほか、律儀・几帳面な性格、たばこやお酒などから影響を受けますので、まずはバランスの良い食事をし、カフェイン・アルコールを控え、有酸素運動を取り入れる生活を送りましょう。また、ピルを使用しホルモンを安定させると、症状はなくります。
月経の周期、持続日数、量の異常(月経不順)や無月経、不正性器出血を「月経異常」と言います。精神的なストレスや心身の過労、過度な食事制限(ダイエット)、プレ更年期(30代後半~40代半ば)、甲状腺機能異常、アスリート、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などが原因としてあげられます。しかし、子宮頸管/内膜のポリープや子宮筋腫、子宮腟部びらん、悪性腫瘍などの器質性出血と呼ばれる形態的な異常が見つかることもあります。妊娠関連などによる可能性もあるため、月経異常を認めた際には是非ご相談ください。
閉経は月経が来ない状態が12か月以上続いたときに、1年前を振り返って「閉経」とし、日本人の平均は約50.5歳です。閉経の前後5年間を「更年期」といいますが、この頃に起きる女性ホルモン(特にエストロゲン)の大きな低下に、加齢などの身体的因子や性格などの心理的因子、職場や家庭における人間関係などの社会的因子が加わり「更年期症状」が発症すると考えられています。
更年期症状は大きく、①のぼせやホットフラッシュなどの血管拡張・放熱症状 ②めまいや動機、肩こりなどの身体症状 ③気分の落ち込み、イライラなどの精神症状 に分けられます。生活習慣の改善や心理療法のほか、ホルモン補充療法(HRT)や漢方などの薬物療法があります。当院ではメディカルハーブを利用したケアも行っております。
日本では1999年に低用量ピルが認可されていますが、欧米では40~50%の方が使用しているのに対し、わが国では3~4%とまだまだ低い普及率です。ピルは1日1錠決まった時間に内服することで、ほぼ100%の避妊効果が得られます。そのほか、ニキビ改善、月経困難症(月経痛)軽減、月経不順や月経方の改善、子宮内膜症の予防・治療、PMSの緩和、卵巣がん発症率の低下、子宮体がんの発症予防などの効果があり、上手に付き合うととても良いお薬です。
ピルには女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が含まれており、エストロゲン量により高用量(50µgより多い)、中用量(50µg)、低用量(50µg未満)、超低用量(30µg未満)に分類されます。また、ホルモンの配合量によって一相性と三相性に分けられます。ピルの中には、月経困難症や子宮内膜症に対する治療を目的に保険適応薬として使われる低用量/超低用量ピルLEPと、避妊目的で使用するOCがあります。
飲み慣れるまで、むくみや吐き気などの副作用が出現することがあります。最大の副作用は血栓ですが、この発症リスクは、妊娠した際に起こるリスクに比べると格段に低いです。喫煙歴や糖尿病など血栓発症リスクの高い方には使えませんので、初めてピルを希望される場合には、問診や超音波、子宮がん検査、血液検査を受けていただきます。初回は副作用もあるため、1シートをおすすめしますが、同時処方は、LEPの場合一度に3シートまで、OCは6シートまで可能です。
避妊しなかった場合、避妊に失敗した場合、また性被害にあった場合に妊娠を避ける手段です。排卵前に使用することにより排卵を抑制します。約80%の女性は服用後5-7日間以上排卵しなくなり、その期間に精子が受精能力を失うため受精卵が作られず妊娠成立を防ぎます。万が一排卵後の内服で受精卵となってしまった場合でも、子宮内膜の増殖を防ぎ体温の上昇を防ぐことで、子宮内膜に着床させないようにします。
性交後一定期間内に服用することが必要となりますが、服用はなるべく早い方が効果的です。ただ、薬の効果が表れるまでに3時間程度かかるため、内服直後に性行為を行った場合や効果が現れる前に嘔吐してしまった場合には、再度内服していただかなければなりません。
性行為の度に使うものではなく、あくまでも性行為時のトラブルが起こった時に服用するお薬ですので、確実に避妊をしたいという方には低用量ピルの使用をお勧めします。
性交後有効時間 | 妊娠阻止率 | |
---|---|---|
ノルレボ |
72時間以内 | 85% |
レボノルゲストレル |
72時間以内 | 84% |
ノバT380 |
120時間以内 | 99.8% |
子宮がんとは子宮の上皮性悪性腫瘍を指し、子宮頸部に発生する「子宮頸がん」と子宮体部に発生する「子宮体がん」に大別されます。子宮体がんがほとんど全て腺がん(内膜腺由来)であるのに対して、子宮頸がんは扁平上皮がんと腺がんに分類され、わが国では諸外国に比して腺がんが多いのが特徴です。年間罹患数は、子宮頸がん11,283人、子宮体がん16,304人で、年間死亡数は子宮頸がん2871人、子宮体がん2,601人と、年々増加傾向にあります。(2018年)
子宮頸がんとは子宮の入り口にできるがんで、若い方にも見られます。初期の子宮頸がんでは自覚症状がほとんどないことが多いです。ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因で、これに何らかの要因が加わり発がんすると考えられています。しかし、毎年検診を受けていただければ、ほぼ100%治療することができるため、がん検診を受けるようにしましょう。
HPVには100種類以上の型があり、一般にハイリスク型(16,33,52,58型など)とローリスク型(6,11型など)に分けられ、ハイリスク型がより病変の進行を誘発します。軽度~中等度子宮頚部異形成と診断された方は、HPV型判定をお勧めいたします。HPV9価ワクチンもご用意あります。
子宮体がんはエストロゲン依存性のI型と、非依存性のII型に分けられます。I型は、未婚、未妊、月経周期異常、多嚢胞性卵巣症候群、排卵障害、ホルモン剤服用などによる高エストロゲン状態が影響しますが、前がん病変(子宮内膜異型増殖症)が存在し、その約20%が進行します。一方、II型は前がん病変を介すことも少なく、悪性度が高く、進行も早いため予後は不良とされています。 子宮体がんの主な症状は不正出血です。コスト面や手技上の問題から検診としては普及していませんが、近年増加傾向にもあり、症状がなくても40歳を過ぎたら1-2年毎に定期検診を受けることをおすすめします。子宮体部細胞診の正診率は約90%とされておりますが、この検査で異常が見られた場合には、子宮内膜の組織を採取し検査します。
卵巣がんの多くは、卵巣を覆う細胞に発生します。しかし、卵巣が腫れていても、かなり大きくなるまで無症状のことが多く、検診などでたまたま発見されるか、進行してから発見されることが多いです。また、卵巣がんの約25%は子宮内膜細胞診が異常となります。卵巣がんの検診は、超音波検査により両側の卵巣が腫大していないか確認します。身内に子宮体がん・卵巣がん・乳がん・大腸がんに罹患された方がいる場合や、妊娠経験の無い方は、そうでない方に比して卵巣がんになりやすいともいわれておりますので、年に1度検査を受けられることをおすすめします。
通常、避妊をしなければ、1年間で80%、2年間で90%が妊娠するといわれております。しかし、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、約1年経過しても妊娠しないものを「不妊症」といいます。
男女とも加齢により妊娠しづらくなりますし、近年、妊娠を考える年齢が上昇していることもあり、不妊のカップルは約10組に1組かそれ以上と言われています。まずは、①排卵機能、②子宮や卵巣の状態、③骨盤腹膜炎の原因となるもの(クラミジア、子宮内膜症など)、④免疫因子(抗精子抗体、抗リン脂質抗体など)の精査などの検査を行います。
当院では、これらの精査で異常がないとされた場合に排卵誘発剤を用いたタイミング療法までを行います。この治療でも妊娠が難しい場合には、不妊専門病院をご紹介いたします。
結婚前に夫婦となる大切なパートナーにうつしてしまうような感染症にかかっていないか、妊娠を妨げる病気にかかっていないかどうかをチェックする健康診断です。これから結婚・出産をお考えの方は一度受けてみられてはいかがでしょうか。
一般血液検査 | 貧血、肝機能、腎機能、血糖検査、コレステロールなど |
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ホルモン検査 | 女性ホルモン、甲状腺ホルモン |
感染症(採血) | 梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎、風疹、麻疹、 トキソプラズマウイルス、サイトメガロウイルス |
感染症(経腟採取) | クラミジア、淋菌、トリコモナス、一般おりもの検査 |
子宮がん検査 | 子宮頚部細胞診 |
超音波検査 |
一般血液検査 | 貧血、肝機能、腎機能、血糖検査、コレステロールなど |
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ホルモン検査 | 女性ホルモン、AMH、甲状腺ホルモン |
感染症(採血) | 梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎、風疹、麻疹、 トキソプラズマウイルス、サイトメガロウイルス |
感染症(経腟採取) | クラミジア、淋菌、トリコモナス、 一般おりもの検査、HPVハイリスク型判定 |
子宮がん検査 | 子宮頚部細胞診 |
経腟超音波検査 |
子宮卵管造影検査は、卵管の通過性を調べる検査で、月経7日目頃(低温期)に実施します。
子宮内にカテーテルを挿入し、モニターを観察ながら造影剤をゆっくり注入して異常がないかを調べます。
この検査よって卵管の通過性が改善し、妊娠率が向上するという報告もあります。
当院では、ヨード剤を使用せず、X線(レントゲン)ではなく超音波を用いて診断することで、より安全性の高い『ExEm® gel』を使用します。
ExEm® gelは、ヨーロッパを中心に世界25か国で使用されている超音波卵管造影剤です。
主成分は「ヒドロキシセルロース」と「グリセロール」で、どちらも乳化剤・安定剤・保水剤・増粘剤・潤滑剤などとして様々な食品や化粧品に使用されている成分です。
そのため、注入時の痛みや不快感も少なく、これまでアレルギーの報告もありません。
また、検査の月に避妊していただく必要もありません。
超音波検査 | ExEm® | イソビスト® | リピオドール® |
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種類 | ゲル | 水溶性 | 油性 |
主成分 | ヒドロキシエチルセルロース グリセロール 精製水 |
イオトロラン | ヨード化ケシ油脂肪酸 エチルエステル |
製品 | 輸入製品 | 国内製品 | |
撮影方法 | 超音波 | レントゲン 2日間 | |
ヨード含有量 | なし | 3.0g/V | 4.8g/A |
体内残留 | 速やかに排泄 | 数か月~数年 | |
慎重投与 | なし | ヨード過敏症 | ヨード過敏症 甲状腺機能異常 |
胎児への影響 | なし | 記載なし | 甲状腺機能抑制 (頻度はまれ) |